ククリア学園 交流会その後②
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ククリア学園

-Astorni & Isukarna-

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交流会その後②

 
ハリーは便箋の前で悩んでいた

先日の美術館でアサヒと再会
その後、なんの約束もせずお互いの帰路についていしまったのだ
原因はハリーが話を聞いておらずアサヒが腹を立て喧嘩になりうやむやになってしまったからだ

そしてもう一度約束を取り付ける為に手紙を書こうとしている・・・のだが行き詰っている

よくよく考えてみれば異性をどこかへ誘うなどしたことがない
どこに行けばいいのかわからない

同室のヒルベルトに恋人のクラウディアとどこへでかけるのかと聞いてみたが答えてくれるはずもなく


「・・・よし」


数分考えこんだ後、サラサラとペンを走らせる


『待ち合わせ場所』『日時』『来れるかどうか』


その内容だけ書かれた便箋を折りたたみ封筒に入れる


書き始めてすぐに書き終わった手紙に不審な視線を送るヒルベルトにハリーが気付くことはなかった





待ち合わせ当日
ハリーは公園のベンチに座っていた
自然の多いこの公園は子供が多く、ボールを持った少年達が走り回っている


なぜ行先に公園を選んだのか

ハリーの考えとしては「行けばどうにかなるだろ」

深く考えることが向いていない彼は自分が昔よく行っていた場所を選んだのだ

この公園ならば異性の深い交流を良しとしないお互いの学校への通告もないだろう
ハリーはそんな配慮は全く考えいなかったが偶然にも好条件の場所だった



簡潔な手紙の返事は更に簡潔なものだった

『行ける』とだけ書かれた手紙を思い出し、「アサヒらしい」と少し頬が緩む




「わっ!」



突然後ろから聞こえた声にハリーが振り返ると、今まさに考えていた相手が不満気な表情で立っていた


「おー、行くか」

「ちょっとは驚きなさいよ」

「ならもっと驚くようなことしろよ」

「腹立つ・・・!」



むっとしながらも美術館の時と同様、少し距離を開けて隣を歩く

そんなアサヒを横目で見ながらハリーは自分が浮かれているのを感じていた




ハリーの考えはあながち間違いではなかった

ハリーの次回の作品の事やアサヒの弟がアストルニ学園の中等部にいることなど話題は尽きない
ホットドックのいい匂いに誘われてランチを賭けて本気でじゃんけんをしたり、どちらが飲み物を買ってくるかもめたりしつつもあっという間に時間は過ぎていった



腹ごしらえを終え、散策を再開してすぐに少し開けた場所にでた
そこには大きな池があり、二人は何気なく足を止める


ハリーは池に近づくと石を一つ拾い、軽く投げた
その石はパシャンと5,6回跳ね、池に沈んでいく


その仕草は手慣れたもので、小さな頃によく水切りをしていただろうという事がわかった

ハリーからすればなんとなく昔を思い出してとった行動だったのだが、アサヒは驚いたようみ目を見開いていた



「やってみるか?」

「うん!」



アサヒは嬉々と石を拾い無造作に投げる
石は跳ねることなく重々しい音を立てて池に沈んでいった



「へたくそ」

「っ!もう一回!」


アサヒは勢いに任せて数回石を投げたがどれも同じように池に吸い込まれていく



「選ぶ石が悪いんだよ。こっちの石にしてみな」

ハリーは手ごろな石をアサヒに渡し、後ろに回り込みアサヒの腕を掴む

「投げ方も力入れすぎなんだよ」

「だってわかんないし!」

「練習しろ練習」



ああでもないこうでもない、とハリーから教えられる状況でも余程水切りを成功させたいのか、アサヒは素直に話を聞き何度も投げ続けた

アストルニ学園の生徒とイスカルナ学院の生徒が夢中で水切りをしている
場合によっては噂が立つような場面だが、それを気にするものは誰もいない


石選びのコツもわかりはじめた頃、アサヒの投げた石が1回2回と水面を跳ねた


アサヒは数回瞬きをした後、ハリーの方に振り返り



「できた!」


とても嬉しそうに笑った




瞬間、ハリーの中でぶわっと何かが沸き上った


眉間に皺を寄せた表情でもなく

お嬢様ごっこの時の微笑みでもなく



ハリーに向けて『笑った』のだ




ガバッと頭を抱えてしゃがみこむハリーにアサヒはぎょっとする


「な、何!?なんなの!?」

「なんでもねぇ」



思わず伸びそうになった手を抑えるようにぐっと拳を握る


今は駄目だ

今触れればきっと元にはもどれない

軽口を叩いて喧嘩をして

今はそれでいいのだ



「ちょっと、ほんとにどうしたの」

「うっせ、ばーか」

「はぁ!?」



心配してやってるのに!と怒るアサヒの声を聞きつつ、自分の頬の熱が冷めるまでハリーは俯き続けた
 


asahi_smile.jpg


illustrate by 藤村ゆみ




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