ククリア学園 たいふう!
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ククリア学園

-Astorni & Isukarna-

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たいふう!

 
 「『――週末は激しい雨と突風に注意し、不要不急の外出を控えましょう』だとさ」
 フライダ市を含むこの地域のほぼ全域に予報された荒天はあっという間に周囲に広がる。
 情報の収集源は基本的に新聞なので昨日の発表になるが、曇天と普段体験しないような妙な湿気の高さがそれを物語っている。
 「寮生活の俺らには電車乗って歩いてって登校の過程がないから関係ないな」
 気象情報をいつもより時間をかけて読んだ後、新聞を折りたたむと見る機会など無いテレビ欄に視線を落とす。
 情報番組や報道番組も荒天についての特集のようだ。
 「でも、先生たちが来られなくて自習くらいにはなるかも?」
 「ずっとこの地域に住んでいるが、期待するような混沌はこないぞ? 多分」
 「そんなの期待していないよ……」


数日後――

 どうせちょっと強い風とその風に吹かれて強さを増した雨が降るだけだろう…… という彼らの予想を見事に裏切った暴風雨が窓を揺らす。
 あっちの寮は庭の木がまっぷたつになったらしい、こっちの寮は廊下のガラスが飛来物と接触して割れたらしい…… などいろいろな話が飛び交う。

 「いやぁ猛暑に流行性感冒パンデミックにと最近いろいろあるなぁ……」
この一年近くの間にあった出来事を懐かしむようにクリスピンは思い出す。
とはいえ、たちの悪い風邪が流行った時の彼は数少ない非罹患者だったのだが……。
 「あんまり窓の近くにいない方がいいよ。どこかで飛んできたものがガラスにぶつかって割れたらしいし」
 「そういやさ、俺子供の頃こういう天気の時に傘さして飛び降りたら風に乗って飛んでいけるかなーって思っていたんだよね」
 唐突に荒れ狂う外を見てクリスピンがつぶやく。
 「あー今なら飛べるんじゃない?」
 唐突なフリに慣れてしまったのか、ヴァーノンはそれに対しツッコミではなく同調をする。
 「こう、でかくて頑丈な傘なら行けるかもな」
 「できれば風だけの時だよねー…… 雨には打たれたくないよ」
 そんなどうでもいい話をしながら改めて窓の外を覗く。
 南の空高く太陽が昇ろうとする時間だが外はますます暗くなっていく。
 「まあ、子供の頃思っただけで実際やったら命に関わるだろうから妄想だけで楽しんだけど」
 「だよねぇ」
 「さてと…… 宿題片付けるか。一日休みになってラッキーだったぜ」
 「クリスピン君って意外と提出物しっかりやってて本当に意外だよね。そんなキャラだっけ?」
 「そうか? なんか心外だなー……」


 昼下がり、二人分の珈琲を用意したクリスピンは昼前の一言が少し癪に障ったので、ささやかな仕返しにとあらかじめヴァーノンのカップに角砂糖を何粒も溶かしてから持っていくことにした。



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