ククリア学園 rustico con anima【Gattino danza】
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ククリア学園

-Astorni & Isukarna-

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rustico con anima【Gattino danza】

 
※この創作は「Souvenirs d'amitie【thé grossier】」を踏まえそこから続いています※



 
 アズマ・アカツキから干物を貰ったロイとアンセルム。ロイが貰った干物を抱え、同じ階にある自室へと戻っていく。
「いいもん貰ったな! エリザベスにも食わしてやりたいな!」
「うん! きっと喜ぶよ!」
 エリザベス、というなにかの話をしながら。
「ただいま、エリザベス」
 自室のドアを開け、本来なら誰もいないはずの部屋に声をかけるロイ。すると、中から「みゃあ」と答える声がした。
「いい子でお留守番できたか?」
 そう言ってアンセルムがその場にしゃがみ込むと、そこにいたのは小さくて真っ白でふわふわした生き物――子猫である。エリザベスと呼ばれた子猫は、また一声「みゃあ」と答えてアンセルムの手にすり寄ってくる。アンセルムはそれを愛しそうに抱き上げた。
 ちなみに子猫のエリザベスは、数日前、雨の中おなかを空かせてさまよっていたところを、可哀想に思った二人が保護したのだが、それはまた別の時に語ろう。
「エリザベス、今日はお土産があるんだよ~!」
 ロイはアンセルムの手に抱かれたエリザベスの頭を、指先で優しくなでてやる。そうすると、エリザベスはとても嬉しそうな表情をするのだ。
「よし、早速焼くか!えーと、確か焼き網がこの辺に……」
 アンセルムはエリザベスをゆっくり床へとおろすと、1か月ほど前にアンセルムの元へ送られてきた大きな箱をがさごそとあさり始めた。なんでもアンセルムの姉が恋人と同棲するということで、いらなくなったものを送りつけてきたらしい。しかしながらほとんどその中身はだされずに、大きな箱はアンセルムのガラクタ入れと化している。
「……あったあった、焼き網」
 箱の奥の方から、金属の色から察するにおそらく数回ほど使用されたと思われる焼き網が発掘された。
「よし、焼くのは任せて! 僕こういうの母さんに鍛えられてるんだ!」
「よっしゃ任せた!」
 ロイはアンセルムから焼き網を受け取ると、意気揚々と台所へと向かった。エリザベスもちょこちょことロイの後をついてくる。
「すぐ焼けるからちょっと待っててね。」
 ロイはエリザベスに話しかけながら、もらった干物の中で最も厳重に包装されていたもののラップをほどいていく。この時、少し個性的な臭いが漂ったような気がしたが、こういうものなのかと、特に気にも留めなかった。
 ふふふふん、ふふ~んと陽気な鼻歌を歌いながら、換気扇を回し、焼き網の上に干物を乗せ、火をつける。しばらくはロイもご機嫌であったが、すぐにある異変に気付いた。焼いている干物がなんとも形容しがたい臭いを放ち始めたのだ!
「ごふっ……!」
 思わず鼻と口をふさぐロイ。アンセルムも異変に気付いた。
「おい、なんかすっげえ臭いすんぞ!!」
「換気……!」
 ロイが焼いたのは「くさや」という、ある地方の伝統的な干物だったのだが、二人には一体これは何なのか、なぜこんな臭いを放つのかわからないまま、あまりに酷い臭気に耐えられなくなり、アンセルムが窓を全開にし、ロイが廊下へのドアを開け放った。

 こうしてこの「くさやの臭い」は、第一寮A棟全体に充満することになったのだった。

 ドアを開けたロイが干物の元へと戻ろうとすると、すぐに廊下がざわつき始めた。おかしな臭いがする、どういうことだ、会長に報告しろ、という声がちらほらと聞こえた。そしてすぐに、ざわめきの中から聞きなれた二つの足音が、大股でこちらに向かってくるのが聞こえてきた。ロイには分かった。これは間違いなく、アストルニの双璧がこちらに向かってくる――。
「アンセルム! エリザベス隠して!!」
「お、おう!」
 アンセルムは急いでエリザベスを抱きかかえると、エリザベスのベッドとして使っている段ボールに入れ、クローゼットの中へと押し込んだ。その間にロイはコンロの火を消す。ちょうどアンセルムがクローゼットの扉を閉め、ロイが部屋のドアを閉めようとしたところで、普段からよく見慣れた、ガウンを羽織った長身の先輩が二人、ドアの前に立ったのだった。



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