ククリア学園 甘い目玉焼きは副菜かデザートか
FC2ブログ

ククリア学園

-Astorni & Isukarna-

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

甘い目玉焼きは副菜かデザートか

 
 次々と寮生がやってきて賑やかになりつつある食堂。
 比較的早めの時間に食べに来る者達は談笑しながら実に余裕の様子で食事をしていた。
 その一角でクリスピンとヴァーノンも食事を摂る。
 目玉焼きにベーコンにサラダ…食べ放題のパンとごく一般的な飲み物。模範的な朝食だ。

 「ソースが……」
 「ケチャップが……」
 彼らの近くで食事をしている人物たちが何やら熱く議論をしているようだ。
 目玉焼きにかけるもので議論しているのは生徒会長の二人。中々に詮なき内容のようだ。
 「なんか言い合いになってるみたいだけど…」
 ヴァーノンは飲み物を一口飲み、視線を議論の先にやる。
 「こりゃ近々学園を二分する戦争になるだろうな。今のうちにマレット派とビーニャス派のどっちにつくか考えておけよ。中立はおそらく死あるのみだ」
 クロワッサンを剥きながらクリスピンが真顔で返す。
 「さすがにそんなあからさまな嘘に騙されないよ? あと、クロワッサンを中身と皮で分離するのやめなよ…」
 「当たり前だろ。それに喧嘩している風には見えないし、会長たちもあんな話題で盛り上がるんだなってくらいだよ」
 「クリスピン君なら塩以外で何をかける?」
 「何も。つうか塩すらかけない。ベーコン味ついてるし。お前は?」
 「そうだねー…僕なら…」
 目玉焼き議論に釣られて話題の中心が目玉焼きにかけるものになったその時、付近数メートルでに座っている生徒たちに衝撃が訪れた。

 「生クリームだろ?」

 聞こえる範囲にいた全員が無言で食事をとっていたとしても多少の音はする。食器の音や何かしらの動作の音…
 それすら止まってしまう静寂…
 そして若干のタイムラグを経て声の主に視線が注がれる。そして僅かではあるが喧騒が戻る。
 「今、聞き間違えなかったら生クリームって…」
 「クリスピン君。きっとパンケーキの添え物の話だよ。僕ならジャムとかも捨てがたいかな」
 「俺はメイプルシロップかな。あとバター」
 「いいね。パンケーキは甘いものはもちろんチキンとか挟んでも美味しいからね」
 「そうだな。サンドイッチのパンがパンケーキになってるやつうまかったわ」
 先ほどの生徒会長達の議論にえらくラフな姿をした同級生がやってきて、彼らが質問を投げ返したらしい。
 しかし… いや、多分話題が変わって目玉焼きではなくなったのだろうと2人は納得した。
 クリスピンが視線を向けると明らかに動揺をしているマレット会長と、どういう顔をしていいのかわからずとりあえず感情を殺したといった感じのビーニャス会長がいた。
 そして、周囲を混沌に陥れる青年の二の句…

 「ジャムもいいぞ」

 今度こそ周囲に大爆撃であった。
 むせる人、喉に何かをつまらせる人、食器を落としてしまう人…
 やはり目玉焼きにかけるものの話だと脳が理解してクリスピンとヴァーノンもむせてしまう。
 どうやら会長たちもさすがにそれはないと言わんばかりの様子で、恐ろしい爆弾を二度おとした先輩は自分のよく利用する席の方に移動したようだった。
 ふと、クリスピンは目の前にブルーベリージャムに視線を落とす。
 「なあ、ジャムあるからやってみろよ」
 クリスピンはヴァーノンの前にジャムを突き出す。
 「嫌だよ……君が自分でやればいいじゃないか。なんで僕にやらせようとするの」
 「だって俺、繊細だもん」
 「……君が繊細だったら僕なんか神経症に違いないよ」
 「何か言ったか?」
 「ううん――なんにも」
 「案外美味いかもしれないぞ? 俺はもう目玉焼きは食っちまったしさ。男は度胸って言うだろ」
 「あのね。勇敢と無謀って違うんだよ? 僕は10代半ばで命を落としたくない」
 「死にはしねーだろ。どっちもうまいじゃないか」
 「じゃあ君はデミグラスソースの乗ったハンバーグの上にバニラアイスを置かれても平気なのかい?」
 「そんな事されたら助走つけてそいつ殴るわ」
 「だろ? しかし…」
 ヴァーノンは入り口近くの席を見やる。
 「あの先輩、添えものに生クリームとかは置いてなかったからクリームはないとして、本当にジャム乗せて食べてるのかな…?」
 「食堂出る時にちょっと見てきてくれよ。お前ならそんなに顔割れてないだろ。まだここに来てそんなに経ってないんだし」
 「そうだけど…本当にかけていたらそれはそれで朝から見たくない」
 「あのスイーツメガネ先輩って大物だよな…」
 「すっごい失礼な呼び方だけどその呼び方には拍手を送りたいよ」
 結局二人は反対側の出口から食堂を去り、教室に向かった。


※この創作はこちらの話とリンクしています
小さな淑女と青年-目次-

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
カテゴリ
検索フォーム
QRコード
QR


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。